多田羅迪夫(バリトン)
 1947年香川県坂出市に生れる。東京藝術大学音楽学部声楽科卒業(在学中に安宅賞受賞)、同大学院修士課程修了。第16回ジロー・オペラ賞受賞。 1973年イタリアに留学後、ドイツのゲルゼンキルヒェン歌劇場を始めとする歌劇場のソリストとしてブリテン「真夏の夜の夢」シーシアス役、「タンホイザー」ビーテロルフ、「ボエーム」ショナール他を歌って活躍し、欧州の国際的歌手(M.フレーニ、J.ピルー、F.ボニソッリ、R.パネライ他)と共演する等の経験を積み帰国。
 1983年、青島広志:オペラ「黄金の国」(初演)のフェレイラ、二期会公演若杉弘指揮「ジークフリート」アルベリッヒ、新日フィルと小澤征爾指揮で「ヴォツェック」タイトルロール、「エレクトラ」オレスト、故朝比奈隆指揮で「ラインゴルト」アルベリッヒ「神々の黄昏」ハーゲン等を歌い、一躍脚光を浴びた。その後も石井歓:「袈裟と盛遠」盛遠、1988年「サムソンとダリダ」大祭司、「ペレアスとメリザンド」ゴロー、「フィガロの結婚」フィガロ、Bunkamura「魔法の笛」パパゲーノ、二期会「蝶々夫人」シャープレス等で次々と好評を得、フィンランドのサヴォンリンナ音楽祭でも「蝶々夫人」シャープレスは地元各紙で絶賛された。1991年、NHK・民音主催のW.サヴァリッシュ指揮「魔笛」弁者では、男性歌手唯一の日本人歌手として真価を発揮、国際級の歌唱力を示した。その後も、「リゴレット」タイトルロール等で好評を得、1992年、「ドン・ジョヴァンニ」タイトルロール、小澤征爾指揮「オランダ人」タイトルロール、1996年二期会「ワルキューレ」ヴォータン、2002年「フィガロの結婚」伯爵「マイスタージンガー」ハンス・ザックス、等で精神的深みを好演し高い評価を得た。2004年R.シュトラウス:「インテルメッツォ」R.シュトルツ、2005年ツェムリンスキー:「フィレンツェの悲劇」シモーネを演じた。
 コンサート歌手としても、N響をはじめ国内主要オーケストラと宗教的声楽作品のソリストとしてたびたび共演、バッハ「ヨハネ受難曲」「マタイ受難曲」「ロ短調ミサ」、ヘンデル:「メサイア」、ハイドン:オラトリオ「四季」「天地創造」、モーツァルト:「レクイエム」、ベートーヴェン「第九交響曲」、ブラームス「ドイツ・レクイエム」、ヴェルディ:「レクイエム」、フォーレ:「レクイエム」等をレパートリーとし、卓越した演奏で知られている。2007年には東京藝術大学奏楽堂で「ドイツ歌曲の夕べ」のリサイタルを行った。
 2003年の二期会「ばらの騎士」に続き、2007年のハンブルク州立歌劇場との共同制作「皇帝ティトの慈悲」、2008年「エフゲニー・オネーギン」でも公演監督を務め、公演を成功に導いている。
 東京藝術大学教授。二期会幹事。
多田羅 迪夫 ブログ http://green.ap.teacup.com/musik/

 
Copyright・2008 Disc Classica Japan